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もう残り数時間ですが、本日5月3日は小説家・池波正太郎先生のご命日です。
池波忌であるこの日は毎年手を合わせ、先生の本を開きます。
本当は先生の行きつけだったお店に立ち寄って思いを馳せるくらいのことはしたいのですが・・・
あと、先生が最期に召し上がったというウナギくらい食べたいのですが・・・
現在なかなかそうもいかないので、先生の本を開きます。
この日に開くのは、いつも決まってこの本。
私のバイブル『男の作法』です。
私は女ではありますが、ここに書かれているのは性別関係なく「人間」として
大切なことだと思っているので、『人間の作法』だと思って読んでいます。
一年に一回、この本をパラパラと読んでいって
ああ、これは最近出来ていないな とか
しまった、近頃この精神を忘れていた とか
現在の自分を見直す、良い機会なのです。
色んな気付きを与えてくれる本ではあるのですが、肝心なのは
「すべての事は男を磨く砂である」
という一文。
何か辛いことがあってもこの言葉を思いだし、今この事で自分は磨かれているんだ
これを糧にして自分を磨いてやろう、と思っています。
この言葉のおかげで、私はかなりポジティブになったと思う。
そして何より、歴史にどっぷりはまるきっかけとなったのは先生の小説おかげ。
生き方の視野を広げてくれたのは、先生の『鬼平犯科帳』のおかげ。
「人間としての強さ」を教えてくれたのは、先生の『剣客商売』。
真田家と上田市の素晴しさを教えてくれたのは、先生の『真田太平記』。
食を楽しむことを教えてくれたのは、先生の『散歩の時、何か食べたくなって』。
本当に私の今の作ってくれたのは、先生の文章のおかげなのです。
だから、私にとって今日はとても大事な日。
色々と先生ゆかりのものに浸ってもいたいけれども、一番大切なのは
先生が教えてくれた私の『芯』を見直すことだと思うので
私は、この本を開くのです。
合掌。
何故か急に思い立って、井伊直虎さんが主人公の小説を
買い込んでしまいました。
静岡に住んでいると徳川さん関連が気になる・・・というわけではなく
私が昔から好きな「強い女性」を色々と調べていたところ
遅まきながら彼女に行き着いたというところです。
ということで2冊のうち、こちらを読了。
高殿 円著『剣と紅』
井伊家の頭領姫・香(かぐ/後の直虎)は、幼い頃から不思議な物が
その眼に見えてしまい、その力ゆえに「小法師(座敷童)さま」と
呼ばれ、領民に慕われていた。
彼女は、棟梁の一人娘故に親類の中から生まれながらに許嫁が
定められていた。井伊亀之丞。
もうすぐ元服、そして婚礼。
そんな日がもうすぐやって来る、しかしそこにやって来たのは
名門井伊家を滅亡に誘う、黒い靄・・・。
井伊直政さんの養母にして、男名を持ち『女地頭』と呼ばれた
直虎さんを、不思議な力を持つゆえに悩む女性として
そして数々の不幸に見舞われながらも、己の運命に立ち向かう
一人の戦国の人間として生き抜いていきます。
女性作家さんならではの視点が、時に同感を呼び、時に生々しく
時に悲しく、時に爽快に描かれます。
登場人物に女性が多いのも、女性の目線ならではなのかもしれません。
身の回りの全てが無くなってしまっていく環境の中で
自分の運命、自分の成すべきことに対して果敢に向かっていく
香姫の姿は爽快でもあるのにとても悲しくて、読みながら
「早く楽にしてあげたい・・・」と思ってしまったほど。
普段は主人公の死の描写を読みたくないなぁと思うのに。
それほど、香姫の生き様が切なかったのです。
でも、美しくて。
また、私のがいつも見ている目線とは逆の目線の物語だったというのも
新鮮でした。何せ、武田家も今川家も敵なのですから。
うーん、益々彼女のことが気になってしまいました。