先日、友人が兵庫から遊びに来てくれました。
彼女の目的地が、私が行きたいと思っていた場所と同じだったので
一緒に行ってきたのです。
それは、戦国時代が好きであれば必ず見たいであろう
戦国武将・本多忠勝さんの愛槍として有名な、あの『蜻蛉切』!!
現存していて、しかも静岡にあるなんて、そして公開されるなんて!
この公開を知ったときは、それこそ奇跡に遭遇したような気持ちで
何が何でも見に行こうと思いました。
しかし、何も展示されるのは蜻蛉切だけではありません。
この槍を所持している方は、相当の収集家。
静岡は沼津の方ということで、コレクションも静岡に
ちなんだ品が多かったような気がしました。
個人的には、月岡芳年さんの描いた
『三保の松原で富士を観る武田信玄』
の絵がとっても素敵でした!
昨日のエントリーでも書きましたが、私の住むここ静岡清水は
信玄公ゆかりの土地でもあります。
それが絵に描かれているのは、妙に嬉しいのです。
そして刀剣のコレクションは相当なものでした。
長篠の合戦ゆかりの、信長さんの刀やら伊達家の刀やら
国宝の太刀「一」などなど・・・
元々刀剣を見るのが好きで、10年近く前には「刀剣鑑定」の
勉強をかじっていた私。
眼福でした・・・。
そして特に、今回の目玉であり最大の目的の蜻蛉切は・・・
展示されている部屋に入った途端、その存在感が私たちの目を奪い
圧倒的なオーラに魅入られてしまいました。
刀を見る時にたまーにある、いわば「妖刀」と呼ばれる類の
妖しい魅入られ方ではありませんでした。
これは友人が言っていたのですが
「武の神様と対峙したような感じ」なのです。
多くの血を吸ったであろう、実践の槍なのに・・・神々しいのです。
実際当時使用して出来たであろう傷も見受けられました。
もちろんそれらが綺麗に修復されて美しく研がれていたからでも
あるのだとは思うのですが、それでもこの槍は凛としていて
禍々しさなど一切寄せ付けないような気品に満ち溢れていました。
ひとえにこれは本多忠勝さんの纏っていたオーラを写しているのでは
と思ってしまいました。
信念と強さと雄々しさと清々しさと、そして心の美しさとを
持ち合わせた、そんな武将だったのではないか、と。
だから、この槍は400年経ってもこんなに綺麗なのではないかと。
とても、感動しました。
そして、何より大きい!
私はこんな大きな穂先は初めて見ました。
これはかなりの重さでしょうし、戦場でもさぞや迫力と存在感が
あったのではないでしょうか。
それを振り回す、忠勝さんはさぞかし敵からは恐ろしい存在に
見えたのでしょうし、実際強かったんでしょうね。
本多忠勝さんといえば真田家とも縁の深いお方。
真田信幸さまの正室・小松姫さまは忠勝さんの娘さん。
関ヶ原で西軍につき、命危うくなった昌幸さま・幸村さまの
助命嘆願をする信幸さまを助けて下さったともいいます。
そこで、この槍を見に行くにあたり思い出して本棚から
引っ張り出してきた本が。
小松姫さまが主人公の小説「化粧槍 とんぼ切り」。
とっても刀剣に対してマニアックな作者さんが書かれたので
刀剣描写はついていくのがやっとですが、人間模様がまた面白い!
小松姫さまはとっても可愛いし(ツンデレ)、信幸さまは男らしくて
とってもカッコイイし、昌幸さまは頭脳明晰で潔い謀略家で
忠勝さんは清々しい武将だけど娘に弱い親バカで、幸村さまは
刀剣を愛するクセのあるダークな描写なのです。
もう、これが尽く私のツボにハマった、オススメの一冊。
本物の蜻蛉切も見れたことですし、また読んでみようかな。
蜻蛉切が見られるのは、今月15日まで。
見に来れる方は是非、オススメいたします。