出来るんだろうか、私に。
人を幸せにする事が。
人に何かを与える事が。
人を感動させる事が。
人に何かを伝える事が。
私に、出来るのだろうか。
『軍師になる』と決めた時、心がけたのは“人の事とは思わない”ということ。
夢は、人の夢のままでは『儚く』なってしまうでしょうと、
あの頃私は人に言った事がある。
その夢を自分のものにしなければ、誰かを助けることなど出来ません、と。
人の為と言っていては、多分それは『偽』の思いになりかねない。
自分の為でなければ、人はきっと全力では動けないのだろう。
だから、誰かの夢を叶える手伝いをするのなら、その人が夢見る事を
叶える姿を見るのを、自分の夢にしなくてはいけないのだ。
『誰かを支える』というのは、きっとそういう事なのではないのだろうか。
古の男たちは、己が我が手に天下を掴む姿を夢見たものもいれば、
その姿こそを見たいと夢見た男たちもいた。
前者はほんの一握り。
多くの後者たちに支えられて、共にその夢を見たのだ。
己が天下を掴むよりも、自分の手で誰かに天下を掴ませる、ということのほうが
己が幸せになるよりも、誰かを幸せにする事のほうが
己が何かを得るよりも、誰かに何かを与える事のほうが
己が感動するよりも、誰かを感動させる事のほうが
己が何かを得るよりも、誰かに何かを得てもらう事のほうが
ずっとずっと難しいのだろう。
私は、そんな難しいことがしたいのだ。
出来るのだろうか、私に。
不可能を可能にするのに必要な事は、きっと『信じる』ことなのだと思う。
誰かの思いを信じる事。
この道を信じる事。
そして何よりも、自分を信じる事。
『もっと自分を信じて下さい』
以前、誰かに言ってもらったことがある。
そう、私には何もないのだから、もう信じるしかないのだ。
私を信じてくれる人たちの為にも。
・・・いいや、自分自身の為に。
私自身の、夢の為に。