六龍堂の表稼業は、フレンチレストランのギャルソンです。
高校生のアルバイトから今に至るまで、ずーっとサービス業。
接客以外の仕事というのは、あまり選択肢にありません。
一時期、時代屋の立ち上げの為、数ヶ月間事務所でデスクワークを
していた時期がありましたが…あれが時代屋の仕事じゃなければ苦痛だったなぁ(笑)。
諸々の理由で時代屋を辞めた私が思ったのは
、『人間として自分のレベルを上げたい』 でした。
その為には、よりレベルの高い組織で荒波に揉まれることだ!と
“何事にもぶつかって砕けて思い知る”という、考えの私は、
より様々な点において高度なレベルを求められる
レストランサービスを選んだのでした。
今の職場は、大体1日に100人くらいのお客様と接する。
しかも、毎日が違う方と、だ。
単純に考えて1ヶ月で2000人、1年で24,000人の人と出会うことになる。
これだけの人数ともなれば…本当に色々なケースに遭遇する。
それはまさに『修行』にもなれば『勉強』にもなり、そして『鏡』にもなる。
根本的な常識。
周りを気遣う心。
物事を淀みなく進める能力。
瞬時に対応する瞬発力と適応力。
動じない冷静な判断力。
お客さまの嗜好や顔・お名前などの記憶力。
どんな方とも会話できる、話術の巧みさ。
料理や飲み物に対する知識。
人を立てることの出来る優雅さ。
きちんとしたマナーと日本語。
相手を波立たせない交渉術。
チームワークという輪の保持力。
感情の処理能力。 などなど・・・
この『知識』が、レストランなら料理や飲み物ですが、
これを“歴史と情報”に置き換えると…
アラ不思議、一流の軍師が出来上がるのです(笑)。
何をするにも、基本は人間。
一流になる前に、きちんとした人間になれ。ということです。
脆弱な石垣の上に、堅固な城は建たない。
そういうことです。
『人生で出会うものは、全てが男を磨く砂である』
敬愛する池波先生もそう仰っておりました。
こういったことは、本で読んでもなかなか身につかない。
やはり、人と接してしかるべきだと思う。
私は一応、女ではあるのですが…私の職場は、いうなれば砂場だ。
大きくは無いけれども、確実に少しずつ磨かれている…気がする。
そして、軍師としてのステージでも、これからきっと様々な砂が待ち構えているのだろう。
“削られる”のではなく、“磨かれる”。
そして、『良き軍師、良き女』と、幸村さまに認めてもらえるように。