なんとか今月中にこの記事を書く事が出来ます^^;
幸村さま御命日巡りの翌日、私は奈良におりました。
大好きな画家・上村松園さんの展示を見に行く為です。
私と松園さんの出会いは、私の着物の先生。
松園さんの描く着物と着こなしの美しさを参考にと
画集を見せて下さったのがはじまりでした。
着物はもちろんなのですが、女性が描く女性の美しさに
強く惹かれてしまったのです。
しかし、まだ実際の絵を見たことが無かった。
そこに、奈良に松園さんから三代の絵を納めた松柏美術館が
あると知り、そこが更に私が関西に滞在中に『上村松園展』が
開催されるという情報をキャッチ。
これは、行くしかない!
憧れの松園さんとの、初めてのご対面です。
松柏美術館は、とても閑静な場所にありました。
美しいお庭に立つ、こじんまりとしていながらも美しい建物。
そうそう、この日に松園さんの絵を観に行くにあたって
着物を選ぶのにはとても気を使いました。
あの美しい着物と着こなしを前に、おかしな着方は出来ない・・・。
着物であの絵の前に立つのは、ちょっと緊張します。
展示は、貴重な下絵と絵画の数々。
本物は思ったよりも大きな絵で、思った以上に美しく
そして思いもよらないほどに強かったのです。
私が特に好きな絵『焔』。
この絵の本物は東京都国立博物館にあるので展示は無かったのですが
模写と、下絵がありました。
私がどうしてこの絵に惹かれるのか。
パッと見ただけでは、振り返る美しい女性の絵。
しかし・・・その顔は恨みと苦しみと悲しみに歪んでいる―
初めてそれに気がついた時の衝撃がとても激しくて、脳裏に焼きついて
離れなかったのです。
これは、源氏物語をモチーフにした作品。
嫉妬に狂った六条御息所が光源氏の正妻・葵の上に取り付いた姿。
何故、こんな絵を・・・当時もそう思いましたが、彼女の数々の絵を
見てますますそう思いました。異質すぎる。
その謎を解きたくて、まじまじと下絵に見入ってしまいました。
そして、この絵を描いた時の松園さんのバックボーンを知り・・・
なんとなく、納得がいったのです。
前例のない女性絵師としての成功と、未婚の母としての立場は
彼女を様々な苦しみに追い込んでいきました。
そんな中、40歳にして年下の男性に大失恋。
そこからスランプに陥り苦しみの中でもがき苦しみ、そこから
生まれたのが、この絵なのだそうです。
だからでしょうか・・・私にはこの絵の女性が『どうして?』という
問いを繰り返しながら、その苦しみの沼から抜け出したいと
もがいているように見えるのです。
その印象が、今回ハッキリと感じられました。
これは・・・実物を見たらそのパワーに圧倒されてしまいそうです。
でも、いつか観たいなぁ。
奇しくもこの絵の評価が高かったことで彼女の地位は益々高まります。
その後の絵は、どこか吹っ切れたかのような、迷いのない、そして益々
美しさと強さを増したものだったのが、印象的でした。
女性の美しさを表現したい。
古き良き古の日本の女性の姿を残したい。
松園さんの、そんな思いは絵の全てに込められて、今を生きる私にも
届けられてきました。
美しき女性は、強い。
強い女性は、美しい。
今回、直接に絵を見たことで、着物の美しさ以外でも松園さんの
絵は、私の憧れとなりました。
絵だけじゃない、松園さんそのものが私の憧れの存在となりました。
庭園にて。
また訪れたい場所です。