先日、ずっと行きたかった展示に行ってきました。
大好きな山種美術館で開催されていた
私の大好きな日本画家・上村松園さんをはじめとする
女流画家の方々の展示です。
私が六龍堂のユニフォームとして着物を着はじめた頃に
出会った先生に、美しい着物のきこなしの
見本として松園さんの絵を見せて頂き、その美しさに魅了されたのでした。
昨年は奈良にある松園さん三代の美術館にも伺いました。
そのくらい、好きです。
山種美術館さんは晩年の松園さんと交流があり、作品も多く所持しています。
それが松園さん生誕140年を記念して一挙公開!
ということで、張り切って観に行きました。
松園さんは、当時珍しい女流画家としての成功を若くしておさめた方。
それ故に周囲のやっかみや妨害にも遇い、苦労もされた方。
更に当時としてはセンセーショナルな未婚の母。
今ですらこんな境遇は色々言われてしまうのに、当時は一体どんな誹謗中傷があったのか…。
その中でもひたすら真っ直ぐに絵に向かい、名画を生み出していった彼女に心から惹かれます。
松園さんは40歳の時にスランプに陥り復活を遂げます。
その後ますます絵に輝きが増すのですが、特に60歳を超えた辺りから
線に迷いが無くなり、描かれる女性にもピンと張った糸のような美しさが加わります。
今回の展示に出ていたのは、そんな時期の絵。
まさに、眼福でした。
特に、有名な『牡丹雪』。
ふと、右側の女性の口元から吐かれる白い息が見えた気がしてしまう程でした。
絵が呼吸をしている。
そんな風に感じられるくらいの作品です。
そして今回、一番感動したのが『庭の雪』。
松園さんが亡くなる前年に描かれたもの。
画家としての集大成のような、素晴らしい絵でした。
若い頃の儚い女性、スランプ間際の哀しい女性
復活後の強い女性、そして熟年期の凛とした女性。
そのどれとも似ているようで似ておらず、まさに生きた女性をそこに産み出したかのような絵。
松園さんの生きざまが、この美しい女性に集約されているようで
それでいて満足感というか優しさというか、ゆったりしたものが流れていて
時間を忘れてしまう絵でした。
他の女性画家の方々の作品も素晴らしかったです。
なんていうか、女性独特の細かさが絵にありました。
男性の細かさとはまた違った…拘りというか、絵への愛着というか
そんなものが表現されていたように感じます。
さて、山種美術館といえばこちら。
併設のカフェにて恒例の絵をモチーフにした和菓子!
今回は松園さんの絵を元にした三種類がありました。
選べなかったので、ひとつをその場で頂いてふたつを持ち帰りました。
今回のポスターにも使われた『新蛍』がモチーフの『初ほたる』。
団扇と簾と蛍の表現がたまりません!
柚子あんが爽やかで、まさに絵の世界。
名画『砧』を元にした『夜長』。
布をイメージした練りきりの中には胡麻あん。
これがすごく美味しい!!
銀箔が、凛とした女性の雰囲気を感じさせます。
先ほど書きました『牡丹雪』から『ぼたん雪』。
オーソドックスな練りきりでしたが、傘に降る雪の表現が素晴らしい!
とってもとっても素晴らしく、美味しいお菓子でした。
絵の余韻をお菓子で持ち帰り、大満足の展示でした。